京都の水は、その美味しさからさまざまな料理に用いられます
琵琶湖に匹敵するほどの地下水が蓄えられている京都盆地。
そこから流れ出す水は名水として、京都各地で敬愛されてきました。
梨木神社の「染井(そめい)」、京都御苑の「縣井(あがたい)」、堀川通の「左女牛井(さめがい)」の京都三名水。
そのほかにも都七名水、西新五代名水など京都には多くの名水があります。
綺麗で美味しい京都の水は料理にも用いられます。
澄んだ水によって作れた京料理は、今も多くの人に愛されていますね。
今回は生麩やお酒など、さまざまな料理に使われる京都のお水についてご紹介していきます。
京都の水が産んだ伝統の味
京料理に欠かせないお麩や湯葉。
どれも京都の良質な地下水が産んだ伝統の味です。
京都の方は親しみ深い生麩。
もちもちした食感と色鮮やかな形が特徴的な食材ですね。炙った生麩にお味噌を付けた田楽や、最近では生麩まんじゅうなどスイーツとしても楽しまれています。
この生麩は京都発祥の食材です。
生麩作りで一番重要なのはお水と言われています。
小麦粉を水の中で揉む作業を繰り返して生麩は作られます。
この時使用される水が上質であればあるほど、良い生麩ができました。
江戸時代には麩屋町と呼ばれる通りができるほど生麩を作るお店が多く存在していました。
上質な水が流れる京都だったからこそ、生麩は発展したと言えるでしょう。
湯葉は京都代表する高級食材ですね。
水につけた大豆を炊き上げて豆乳を作り、それをそのまま煮て皮膜を掬えば湯葉に、にがりを加えれば豆腐となります。
老舗の湯葉職人さんは、水道水ではなく地下水を用います。
京都の地下水は季節に関係なく水温16度前後、カルキなどの混ざり物もありません。
京都の伝統の味は、京都に流れる水あってのものなのです。
お茶好きの秀吉や千利休も愛した京都の水
天下統一を成し遂げた豊臣秀吉は、北野天満宮で大規模な茶会を催すなど茶の湯に強い関心を持っていました。
特に秀吉が好んでいた水は、宇治川から汲んできた「三ノ間の水」です。
宇治橋の真中と川岸の間にせり出した欄干へわざわざ人を走らせ、お茶に使う水を汲ませていました。
また、お茶と言えば千利休ですね。
もちろん千利休も京都の水を好んでいました。
茶道において水は非常に重要です。
千利休が特に好んでいたのは、京都市中京区にある「柳の水」でした。
なんでもこの水の美味しさを守るために直射日光を防ぐ柳の木を植樹したほど、大事にしていたそうです。
このように京都の水は、偉大な歴史的な人物にも愛されてきました。
最高の日本酒は京都から
京都は全国でも指折りの日本酒の産地です。
「名水あるところに名酒あり」と言われるほど、お酒造りに水は欠かせません。
黄桜、月桂冠と全国でも有名な酒造もこの京都・伏見にあります。
昔から京都伏見は美味しい水が豊かに湧き出るとして、酒どころが多く在りました。
桃山丘陵地帯に流れる伏流水は、ミネラルをバランスよく含んだ軟水です。
その水で作られた伏見の酒は、酒特有の荒々しさはなく「女酒」と呼ばれ、その柔らかく優しい味わいは繊細な京料理にも合います。
昭和3年、奈良電鉄(現在の地下鉄)が伏見に地下鉄を通す計画が立てられましたが、地下鉄が通ることによって地下水脈が断水される危険性がありました。
大事な京都のお水が途切れるのは、酒造にとって大きな問題です。
伏見の酒造が結託し、伏見区の地下水脈を調べ、その資料を元に政府や陸軍を説得、無事に計画を阻止することができたのです。
いかに京都のお水に価値があったか、わかる話ですね。
美味しい京都のお水は、昔も今も多くの人に愛されています
このように、京都のお水はさまざま料理に用いられてきました。
京都を代表する食材である湯葉の美味しさは、京都の澄んだ水から作り出されます。
湯葉や豆腐などの京料理が世界でも高く評価されているのは、京都の水がそれだけ上質だからとも言えますね。
口当たりの良い京都のお酒も人気が高く、楽しみにわざわざ遠方から足を運ぶ人も多いです。
昔も今も、京都のみならず他の地域の人も虜にする京都のお水。
そのまま飲んでもよし、料理に使っても良し、京都のお水はこれからも私たちに「美味しい」を届けてくれることでしょう。
