日本人にとって水は恵みであり、神のような存在でした
昔の日本は、主に稲作が中心でした。
雨が降らなければ稲作は育たず、川などの水路がなければ田畑を作ることもできません。
農耕民族であった日本人にとって、水は神からの恵みとして、時には水自身に神を感じ崇拝してきました。
特に京都は良い水が流れるとして、大事にされてきました。
平安時代、鴨川の清流を御所の用水として利用されるほど特別とされていました。
また、稲作に関わる雨乞いなど、水にまつわる祈願や祭が今でも京都各地で行われいますね。
今回は、このように特別視されてきた京都のお水が持つ力をご紹介していきます。
雨乞い・雨止めの儀式が行われた貴船神社
夏の避暑地としても人気が高い貴船神社。
その地に流れる貴船川は、京都の中心に流れる鴨川の源流のひとつです。
一歩踏み込めば、みずみずしい空気と力強い貴船川の流れを感じます。
貴船神社の御祭神は、高龗神(たかおかみのかみ)・闇龗神(くらおかみのかみ)です。
名前は違うものの、水を司るとして同じ神とされています。
龗(おかみ)という漢字は「水の湧き出るところ」という意味で、人々が龍神に雨を祈っている姿から成り立っています。
その成り立ち通り、貴船では昔から雨乞い・雨止めの儀式が行われてきました。貴船神社は雨など水を司るとして国にとって重要な神社でした。
平安時代、強い日照りが続くと雨乞いを、雨が長く続くと雨止めなどの儀式を行なっていましたが、わざわざ朝廷から貴船神社に勅使が派遣され、馬を奉納したと言われています。
現在も毎年3月9日に雨乞い祭が貴船で行われています。
病気も治るとされていた伏見・御香宮神社の御香水
京都・伏見の御香宮神社にある「御香水」。
地元の人には「ごこんさん」と親しまれています。
御香水は平安時代に境内から湧き出た水です。
とても良い香りがする水で、飲むとたちまち病が治ったと霊水として崇められてきました。
徳川家の産湯に使われるほど神秘的な力を持っていたとされています。
この神社はもともと御諸神社という名前でしたが、御香水の力を聞いた清和天皇から「御香宮神社」と名前を賜り、改名をします。
それほど、この水が特別だったということですね。
御香水は、伏見七大名水として全国でも有名です。
桃山の伏流水である御香水は口当たりもよく、今でも水を汲みに神社を訪れる人も多いです。
酒づくりには欠かせない京都・松尾大社の亀の井
昭和時代に酒造が一致団結して京都の川の断水を阻止するほど、京都の水は大切にされてきました。
今でも京都の水は特別な存在として重宝されています。
嵐山・松尾大社は、酒の神を祀っています。
酒づくりが始まる11月には「上卯祭(じょううさい)」で醸造祈願を、酒づくりが完了する4月には「中酉祭(ちゅうゆうさい)」で醸造感謝をする祭りが行われます。
毎年、酒づくりに関わる人々が全国から参拝します。
特に、松尾大社にある「亀の井」の水を持ちかえる業者も多く、なんでもその水を酒づくりの際に加えると、絶対に失敗しないと言われているそうです。
京都のお水には特別な力がある
いかがだったでしょう。
京都のお水は古くから特別とされ、厚く信仰されてきました。
水の恩恵により、京都の人々は豊かな暮らしができていたと言えます。
今回ご紹介したのはほんの一部で、京都各地で特別な力を持つ水のお話はたくさんあります。
それこそ、なんてことない道端の井戸の水が、実は千利休が愛した水だったり…ぜひ、京都の街を散歩して、昔から伝わる京都の特別な水の力を感じてみてはいかがでしょうか。
